行政書士の難易度は、高いとも低いともいわれますが……もっと正確に書くとしたら? その場合だったら、
「行政書士の難易度は、楽勝にはほど遠いものの、数ヶ月で手の届くくらいの合格率だ」
ということになるでしょう。
せっかくの機会ですから、行政書士の難易度(合格率)をもっと大量に並べてみましょう。
・行政書士の合格率の変遷(計13年分)
年度 | 受験者の数 | 合格者の数 | 合格率 |
平成15(2003)年 | 81,242人 | 2,345人 | 2.89% |
平成16(2004)年 | 78,683人 | 4,196人 | 5.33% |
平成17(2005)年 | 74,762人 | 1,961人 | 2.62% |
平成18(2006)年 | 70,713人 | 3,385人 | 4.79% |
平成19(2007)年 | 65,157人 | 5,631人 | 8.64% |
平成20(2008)年 | 63,907人 | 4,133人 | 6.47% |
平成21(2009)年 | 67,348人 | 6,095人 | 9.05% |
平成22(2010)年 | 70,586人 | 4,662人 | 6.60% |
平成23(2011)年 | 66,297人 | 5,337人 | 8.05% |
平成24(2012)年 | 59,948人 | 5,508人 | 9.19% | 平成25(2013)年 | 55,436人 | 5,597人 | 10.10% | 平成26(2014)年 | 48,869人 | 4,043人 | 8.27% | 平成27(2015)年 | 44,366人 | 5,820人 | 13.12% |
ないでしょうか?
1.行政書士の試験制度の変化の影響
実は、平成18(2006)年を境に、行政書士試験は大きな改正が入っています。
それまでは現在と違い、実は作文のような問題があったのです。出題内容の最大の変化は、「より法令関連の問題が中心になった」ということです。その変化を機に、行政書士の難易度は専門的になり、上がったともいえますが……合格率は実はこの5年間をみると、それまでよりもむしろ(少しですが)上がり気味になっていますね。
2.行政書士の合格率の傾向の変化
もうひとつカギになることを書きましょう。この表にはありませんが、今から10年より前の行政書士試験では合格率はもう少し年度ごとに波があり、難易度も安定をしていませんでした。
昨今の行政書士の難易度について、いろいろな憶測が流れていますが、合格率を中心に論じるなら、以前よりもだいぶ安定しているため、受験者としても予測を立てやすくなった、イコール対策を立てやすくなったということができるはずです。
3.行政書士合格者の調整の事情
行政書士の難易度については、「お上の意思」も当然働いています。
この数年は、5~10%の間を合格率の値が推移してばかりですが、合格者を多すぎず、少なすぎずにしたい……という願望のあらわれである、と解釈すべきです。
4.総評
行政書士の試験問題の難易度は高く、専門化を増してきてはいますが、合格率はあまり上下しなくなってきています。これは結局、「突然難しくなる懸念は、気にしなくてOK」ということです。かえって、戦略は立てやすくなってきたといってもいいでしょう。