行政書士と並べて論じられる資格に司法書士があります。弁護士と比べるとはるかに低いものの、行政書士と司法書士の知名度は法律系資格としては上位でしょうか?
もっとも、行政書士と司法書士の難易度の間には、決定的な壁があることはもっと有名になってもよいのではないでしょうか。
1.行政書士と司法書士の、合格のための難易度を比較すると?
年度 | 行政書士 | 司法書士 |
平成20(2008)年 | 6.5% | 3.4% |
平成21(2009)年 | 9.1% | 3.4% |
平成22(2010)年 | 6.6% | 3.5% |
平成23(2011)年 | 8.1% | 3.4% |
平成24(2012)年 | 9.2% | 3.4% |
平成25(2013)年 | 10.1% | 3.5% |
平成26(2014)年 | 8.3% | 3.8% |
司法書士の受験者と合格者は、実は最近は、少しずつですが増加の一途をたどっていました。
弁護士にもあてはまりますが、法務省がより司法を一般に身近なものにしようとする方策をとっているためでもあります。
もっともこの2年に限ると、また減少の兆しを見せていますが。
司法書士はとにかく合格率が厳しいだけではなく、受験勉強も行政書士と違って独学合格の見込みは皆無に近いといわれています。
合格率自体は、ほとんど変化を見せていません。
これには明らかに、上からの指図があり、一定数に合格者を維持できるような方策がいくつも講じられているわけです。
つまり、今後も司法書士試験の難易度が楽になる可能性は期待できません。
2.行政書士と司法書士の、合格後の成功を目指すときの難易度を比較すると?
司法書士は、少しずつ合格者が増えてきましたし、将来的には剰余人口が目立つ可能性を指摘する人もいます。
現在のところはまだそこまではいっていないため、法律関係の事務所であったり、企業の法務部であったりと、
合格後の就職先もいろいろと探せます(ただし、数に余裕があるとはいえません)。
もちろん独立・開業の成功もじゅうぶんあり得ます。……とはいえ、失敗のリスクがあることは行政書士をはじめ他の資格と同じですが。
司法書士は、不動産の登記や裁判所に出す書類の作成等が主たる仕事です。これらの仕事の量にも限りがありますから、成功するには顧客の確保が必須となります。
顧客開拓の努力が必須なことは行政書士と同じですが、数多くの書類作成にかかわれる行政書士と比べると、仕事の幅はわりと限定されてくるでしょう。
3.総評
司法書士は試験の難易度は行政書士より何倍も上です。
成功できるか? という意味で難易度を語るなら、就職したいときは司法書士のほうが行政書士よりもわりと有利でしょう。
開業するなら、どちらも失敗率は同じくらいの高さでしょうか。いずれにしても、合格後の進路はよく考えて決める必要があります。